三浦 大介(みうら おおすけ)

谷川岳ノコ沢の氷瀑登攀とβルンゼ~堅炭沢のスキー初滑降

厳冬期のパウダースキーが一段落して、私の次なるテーマは谷川岳でのクライム&ライドである。
昨シーズンにも増して記録的な豪雪に見舞われた谷川岳はいったいどのような姿で自分を向かえてくれるだろう。
天神平の積雪は今(3月初)でも5mをかるく越えている。一方、2月半ばの暖気の影響で大きなシュルントが開き、既にデブリも出ているという情報がある。不安で胸は一杯である。百聞は一見にしかず。ここは先ずは自分で現場に出向いていくしか方法はない。

3/5(日)晴れ、2時半駐車場発。
昨日のトレースがあるのでスキーで快調に飛ばし、4時20分には幽ノ沢出合に到着。
展望台へ急斜面の登りからスキーを担ぎ、ノコ沢へ向って尾根を辿る。夜が明けてきた。
ノコ沢の氷柱は結構立派である。大きなシュルントは左から巻き気味に越え、基部まで進む。
6時半、アイスクライミングの準備してパートナーのリードで登攀を開始する。
中央凹状からほぼ真っ直ぐに登ってゆく。
氷の質は昨日登った幽ノ沢左俣3ルンゼと同様で良好だが、少しこちらの方が難しい。
ロープを50m伸ばしてピッチを切る。
次のピッチは右手のルンゼ状から頭上の垂直の凹角を右に抜け出る。
この部分のムーブが少し難しく5マイナスくらいか。さらに上部ルンゼを登るがビレイ点が無いので下降し潅木で2ピッチ目を切る。
一発チリ雪崩を浴びたが、日が当たった部分の雪が落ちただけのようで一安心。
上部ルンゼはつるべ式に登攀する。
このルンゼのスノークライミングは安定していた。
頭上に見える雪のマッシュルームがアンデスでのクライミングを彷彿とさせる。
最後は左の石楠花尾根に合流して終了。
時刻は10時。
気温もまだ上昇せず、頬に当たる風も冷たい。
大休止してから堅炭尾根の下降に移る。
次に目指すはベータルンゼから堅炭沢への滑降である。
ベータルンゼの雪質は既に緩んでいた。
アックスを腰に挿し、パートナーに見守られながらドロップイン。
出だしの幅は狭く、傾斜も急で50度近くあるので横滑りとプロペラターンのコンビネイションで落下する。
下部にシュルントがあるので転倒はゆるされない。
陽光を浴びながら心地良い緊張感を味わう。
ルンゼ中間部からは徐々に広くなり、斜度も少し落ちるので連続ターンを決めることができる。
羽が生えたごとく宙に舞いながらターン。
最後はシュルントを慎重に飛び越え、無事、尾根上台地に着地した。
ここからは堅炭沢左俣へと継続滑降する。ボール状大斜面に飛び込むと前日同様、雪質はまずまずのパウダースノーとなった。
カービングのロングターンを描きながらフルスピードで滑り降りる。
堅炭沢は広く、適度な傾斜で最高の気分で滑降ができる。
最後は右手の樹林帯を滑り、芝倉山荘でフィニッシュ! 
ベータルンゼから堅炭沢左俣の最大斜度は50度、滑降高度差800mの滑降であった。
春の陽気の湯檜曽川をスキーで走らせながら、ファースト・ディセントの喜びをかみしめた
近くてよき山、谷川岳東面でのクライム&ライドはなかなか刺激的で面白い。
一日で2種類の充実したジャンルを楽しめるなんて実に幸せなことである。
近年の道具の進化、特にスキーやブーツの軽量化がこれを十分に可能にしている。
谷川岳東面にはよいクライミングルート、滑降ラインが豊富で、そのグレード幅も広い。従って、嗜好に応じてそれぞれに組み合わせて楽しむことができるだろう。
今後ともこういった遊びを継続してゆきたい